ヌードなアタシ
『感受性は人一倍強いのよ。

すごく傷つきやすくて臆病で…

言葉やニュアンスで
相手の気持ち汲み取っちゃうの

まだ、子供なのに…


防衛本能なのかな…

自分の心が壊れないように

感情を心の深い奥底に
沈めてしまったようだった。

何も見ないようにしたのね
きっと、それは…無意識に』




ケイちゃん…アタシのこと
そんなふうに思ってたんだ…




『そうだったな…

こまちちゃんが笑ったの見たとき
嬉しかったな。

かわいいんだ、また、これが…

ものすごく嬉しそうなのに
こう…恥ずかしそうに
チョットだけ喜ぶの、
うつむきがちに、チョットだけ』



大介さん…



『あの顔が見たくってさ。

こまちちゃんが喜びそうな事
手を代え、品を代えやったよなぁ。


この頃は、無邪気に笑ったり
喜んだり、すねたり出来るようになって

ホッとしてたんだぜ。


だけどさ、いまでも俺
あの、こまちちゃんの顔見たくってさ

せっせと、本やら苺やらを
貢いでしまうのよ…ははっ』




タクシーがマンションに着いた。

アタシは、やっぱり
恥ずかしくて、うつむいたまま…

みんなの顔を見れず
おやすみなさいと言って車を降りた。


< 63 / 346 >

この作品をシェア

pagetop