ヌードなアタシ

ジャズ研のある空き教室は

体育館の渡り廊下を越えた
実験室や技術室の奥。



『あ、ちょっと寄ってもいい?』



奈緒はトイレに行き
手洗い場の鏡の前に立つ。


鏡の方に身を乗りだし

ポケットから取り出したリップクリームを
念入りに、くちびるにぬる。


少し下がって
髪を整え、制服をパンパン叩き

くるっとアタシの方を向く。



『大丈夫かな…』



アタシは奈緒の
頭から足先までゆっくり眺める


『ばっちり!』



顔を赤らめ、はしゃぐ奈緒を見ていると
アタシまで楽しくなる。



音楽は嫌いじゃないし…

ううん。
昨日のような演奏なら…すごく好き。

奈緒のピアノは
アタシに限らず、聴く人誰をも引きつける。


ピアノも聴けるし
なにより、
奈緒と一緒にいることが楽しい。


クラブ活動
付き合ってあげる事にして良かった…







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