史上最強お姫様の後宮ライフ覚書



今は亡き母親譲りの緩く巻かれた赤髪と、押しの弱い父親譲りの緑柱石色をした瞳。


歳を経るごとにその容姿は端正さを際立たせ、彼女が十歳を過ぎる頃には既に姉君達よりも勝る美貌を備えていた。


さらには、剣術や学術にも秀で、王国軍の隊長や家庭教師の学者達もリスティーヌの吸収力には舌を巻く騒ぎ。


ともなれば、誰もが秘密裏に彼女こそ次代の女王となることを望むのは当然のことだったと言えよう。




だが、そのように周りから信頼され、美しく育った妹に姉君達が良い感情を持つはずはなく、気がつけばリスティーヌは彼女達から様々な嫌がらせを受けるようになっていた。


ちなみに、代表例を挙げるならば、砂糖と塩が入れ替えてあったり、靴に画ビョウが入っていたり、洋服の袖が縫い付けてあったりするパターンだろう。


「あの人達、もう少しまともな嫌がらせを思い付かなかったのかな……」


――正直、いじめを受けているリスティーヌのほうが精神的に優勢だったのは確かである。



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