屍の孤島
奏という獲物を見つけて、次々に集まってくる亡者の集団。

追い詰められるのも時間の問題だった。

手を伸ばし、白目で睨み、生臭い臭いを漂わせて追って来る死体達。

悪い夢であればいいのにと、何度も考えて一瞬目を閉じる。

しかし次に目を開けば、事態は悪化しているばかり。

既に奏を狙っているゾンビは、十体を超えている。

「こ、来ないでよぉっ!」

涙で顔をクシャクシャにしながら、ゾンビに訴えかける奏。

もう寸前まで迫ってきたゾンビ。

その一体の胸を、彼女は両手で力一杯突き飛ばす!

…彼女はそれ程力がある訳でもない。

並の男なら、微動だにしないだろう。

しかしゾンビ達は、腕力があり執念深く追跡はしてくるものの、その足取りは不安定でおぼつかない。

バランスの悪い彼らは、奏が突き飛ばしただけでも容易く足をもつれさせる。

一体が転倒すると、後はドミノ倒しだ。

その場にバタバタと倒れていくゾンビの群れ。

その隙に、奏は逃げ場を確保して走り出した。

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