屍の孤島
悲観的な発想を、頭を振って追いやる。

こんな所で絶望する訳にはいかない。

きっと離れ離れになってしまった秀一や小野寺、夕映といった仲間達も、諦めずに脱出への道を模索している筈だ。

(この島にいる仲間達の誰か一人でも頑張っている限り、私も諦める訳にはいかない!)

ガクガクと恐怖に震える膝に喝を入れ、奏は前へと進む。

奏は同年代の女性に比べても、小柄で身長が低い。

今までその事はコンプレックスでしかなく、歳相応に見られない事は不満だった。

しかし、ゾンビ達が腕を伸ばして彼女を捕まえようとしても、小柄な彼女はその腕をスルリとかわして逃げる事ができた。

ゾンビ達は小さな彼女の動きを捕らえ切れず、ぶつかったりもつれ合ったりしながら翻弄される。

奏は生まれて初めて、自分が小柄である事に感謝していた。

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