【短編集】涙の流れるその原因に






初めて会ったのは中学2年のとき。

俺の両親はその1年前に離婚していた。

父親は厳しい人だったけど俺は嫌いじゃなかった。

でも母親との口論は絶えなくて。

まだ小さかった俺は父親の怒鳴る声が怖くて耳を塞いでた。

お決まりの「どっちについて行く?」に

俺は母親を指名した。

最後に見た父親は痛そうな顔をしていた。

その後は母親とふたり支えあって生きてきた。








灯はうちに養子として来た。

本人にとってあまりいい思い出じゃないから話さないし聞かないけれど。

母親から聞いた話だと、養子に来る3年前に両親が交通事故で亡くなってしまって。

親戚にたらいまわしにされたとか。

母親がずっと引き取りたがっていたけど、父親が反対していたから遅くなった。

初めて会った日に『この子は守らないと』そう思った。








それから4年。

俺らは誰が見たって本当の姉弟に見えるほどになった。





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