君の光を想う





まだ言葉にしない柚に携帯を出す様に促すと素直に差し出された。



俺の携帯も手繰り寄せて、二つの内の一つを柚の携帯へ括り付ける。




オレンジはもとあるべき場所で綺麗に輝き出す。





「約束」





白い吐息と同時に携帯を差し出す。





両手を差し出され、携帯を受け取る素振りを感じた瞬間。




その白く細い両手は俺の服を強く握った。





後頭部へ掌を軽く添えて、隙間も作らないくらい引き寄せる。






「…あ、りがとう」





「絶対もう手放したりしない」







儚い奇跡だとしても、







お前の光が消えてしまわない様に。







< 324 / 347 >

この作品をシェア

pagetop