君の光を想う



暫くすると。

さっきの雰囲気が嘘かの様に静まり返る車内。

聖の寝息が微かに響く。




次第に窓から映る景色が緑へと変わる。

その木々を眺めていると。





「見て、川。良いなー入りたい」




声のトーンを下げて、柚が窓を差す。





「あの川は流れが早いから危ない」


「大丈夫、私が春を助ける」


「泳げない奴に言われたくない」


「大丈夫、大丈夫」


「何を根拠に…」


「春を助けたいんだもん」





揺らぐ事のない、強い丸い瞳。




あー………お前が





愛しい。







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