君の光を想う
家路を歩く中、
酷い程伝わるのは繰り返される柚の熱い吐息。
何度も首元に掛かり、多少足取りが早まる。
道行く人々に見られるが、今は一大事。
首へ回る柚の腕が緩み、ゆっくりと拳が開かれる。
手の平にあったモノは俺がさっきあげた苺味の飴。
「春は、今飴持ってんの?」
「もうない」
「春は、いつだってそう。自分の分とか考えずに誰かにあげちゃう…悪い癖だよ?」
「すぐ我慢するお前に言われたくない」
誰かってほぼ、お前だろ?
お前が笑顔で美味しいって、
幸せそうにする表情が見たくて。
鈍感、には分からなかっただろうけど…
柚の指が動き出す。
何だ、と思っていた所、口に何かを入れられた。
口内に広がるのは、甘酸っぱい苺味。
「…美味しい?」
「ああ、サンキュ」
「良かった」
柚の顔は見えないけど、
満足そうに笑う様子が目に浮かんだ。