妖精なアイツ【完全版】
髪はサラサラの黒髪。
瞳はキラキラと音を立てて輝いている。
シュッと通った鼻筋に、プルプルの唇。


制服のシャツにはこれでもかって位にレースが付いており、学ランは真っ白で、袖と裾には金の刺繍が施してある。


靴は真っ白で先っぽは上を向いて尖がっている。
色素の薄い彼の胸ポケットには、真っ赤な薔薇が刺さっていた。



……なんだアイツ……


私は眉間にシワを寄せた。


だって、あきらかにおかしい!!
例えるなら60~70年代の少女漫画の王子様みたいな感じだ。


「岩松!!お前何分遅刻してると思ってるんだ!!」


ゴリが怒ると彼は髪をかきあげ、こう言った。


「そんなに顔を真っ赤にさせて、トマトにでもなるつもりかい?ティーチャー。あ、あだ名がゴリだから『ゴリーチャー』かな。」


「勝手に変なあだ名つけんな!!」


ゴリはさらに顔を真っ赤にして怒っていた。


彼は反省の色を見せず、彼の相手をするのに疲れたゴリは彼に早く席に着くように言った。


やばい…近付いてる。


…関わりたくない!!
私は素でそう思った。



だけど、さっき気になっていた私の席の隣は空席。その席はやけにゴージャスだった。



……………まさか。
< 14 / 152 >

この作品をシェア

pagetop