脱力くんの話によらず

落ち着いたと同時に
目頭が熱くなる。

「もぅ待つの
やめよっかなぁ…」

独り言のように
ぽつりと言ってみる。

住田くんはマンガを読んでて
聞いてるのか聞いてないのか分からない。

どっちでもいい。

「いーんじゃん。
つらいなら」

マンガから目を離し
私を見た。


「充分がんばったよ」


私は目をふせ
下唇を噛んで涙を抑える。
こんな奴の前で泣きたくなんかない。
それなのに涙はポロポロと落ちてくる。
住田くんは気をきかせたのか
またマンガに目をうつす。

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