終わりなき想いの果てに
嘘だ。

記憶を操作するなんて、できる訳がない。

なんのつもりか知らないけど、ディガルの策略に違いない。



「信じなくてもいいさ――‥」

ディガルはそう言うと、スッと姿を消した。

と同時に、太陽の焼けるような熱が肌を射す。


わたしは、高校の正門の前に立っていた。

「聖羅、おはよう!」

同級生達が声をかけては、校舎へと消えて行く。

―― 遅刻は免れたみたい。


夢から醒めたばかりのような気怠さが体に残る。


―― ディガルの狙いはなんだったのかしら?

すべてをディガルの作り話と信じ込むことで、わたしは冷静さを取り戻していった。










それから間もなく、教室で友達と他愛のない話を楽しんでいたわたしの元に、兄の事故の知らせが届いた。








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