i 〜アイ〜

私の名前は永原れみ
高3。


今、世界で一番私を愛してくれた人の前にいる。

姿は見えないけど、あなたの香だけは、まだ残っているよ。


「拓…久しぶり…。」


手を顔の前で合わせ、拓との日々を思いだした。


大山拓。
生きていれば、あたしと同じ高校生3年生。

でも、拓は遺伝性の病気で突然16歳という若さで、私の前から消えてしまった。


「………じゃ行くね!」


そう言い静かに花束を置き、お墓に背を向け歩きだした。



会いたいよ……



無性に溢れだす涙を手で拭いながら、ひたすら歩き続けた。


「あっ。間違えた!」


俯いてたせいで学校と反対方向の海に来てしまった。


「まーいっか。まだ時間あるし」
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