黄昏色に、さようなら。


予想通り、先生に捕まった純ちゃんは、そのまま生徒指導室へ連行されてしまった。


BGMを流すなら、きっと『ドナドナ』が一番合うはず。


大柄でガッチリ体形な山崎先生に手を引かれる中肉中背の純ちゃんは、吹けば飛びそうに見えて、


まるで、市場へ引き出されるイタイケナ子牛のようなその姿が哀愁を誘う。


「純ちゃん……」


どうすることもできずにただオロオロと見ている私に、一つきれいなウインクを残して手をひらひら振って。


もう、何を考えてるのよ?


純ちゃんの思考回路が全く理解できない私は、漠然とした不安を胸に、とぼとぼと教室に足を向けた。


「おっはよー、風花!」


『純ちゃん、大丈夫だろうか? まさか今のご時世に殴られたりしないよね?』


などと、幼なじみの身を案じ、暗たんたる気持ちで教室に一歩足を踏み入れた途端、聞き覚えのある妙に明るい声が飛んできた。


ギクリと身を強張らせる。


「こっち、こっち」


こ、この声は!

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