7つ真珠の首飾り
待ち合わせの場所を移してから数日の間、わたしがそこへ行くとティートはいつも洞くつの入り口を一生懸命擦っていた。


「何をしてるの?」

「滑らかにしようと思って。こんなにぎざぎざのままだと、シズが入る時に怪我をしてしまう」


ティートが手に持っているのはただの石のようなものだった。聞いてみると、彼らの世界でもっとも硬いとされる物質らしい。

ティートが汗をかきながら作業を進めるほどに、洞くつの入り口の形はきれいな円に近づいていた。


そして、そろそろ作業は完了しているかな、なんて思いながら洞くつへ向かったその日、わたしは洞くつの中に驚くべきものを見た。


「シズ、見て。繋げられたんだ!」


満面の笑みのティートが指しているのは洞くつの地面だった。目を凝らすと、どうもぽっかりと穴が開いているらしい。


「繋げた……? 何と?」

「海と」

「ええっ!」


なんと彼は大胆にも、洞くつの床部分をごっそりくり抜いて、その下の海面と繋げてしまったというのだ。


「大丈夫? 浸水、してこない?」

「満潮でもぎりぎりぐらいかな。もっとも、浸水してきたってなんの問題もないけどね」


それもそうか。彼の意外な行動力に、わたしは目を丸くした。だけど確かにこれは便利だ。

入り口のことといい穴のことといい、ティートはここを居心地のいい場所にしようとしているらしい。それはわたしにとって嬉しいことだった。

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