-Judge-

美しい装飾が施された大きな扉の向こうには広い部屋があった。


「お帰りなさい、ボス。」


声のした方向には部屋に見合う程に大きなデスク。その前に立つスーツを身に纏った男はこちらに向けて頭を下げていた。


「ああ。」

隣りに立つ男がそう返事をした事から、彼がボスと呼ばれる程に偉い立場の人間だという事が分かる。

ボスの脱いだコートを受け取った男は私を見て、目を丸くした。


「レイだ。こいつに見合うスーツをオーダーしろ。訓練は明後日からやらせる。」


男が口を開く前に、ボスが私の事について話す。


「分かりました。」


「天宮の子だ。美しい娘だろう。」


ドスンと椅子に腰掛けたボスに、男は、はい。と答えただけでそのまま部屋を出ていってしまった。



「さてと…レイ。」


足を組み、デスクの上に置いてある小さな箱へと手を伸ばすボスは、そこから一本の葉巻を取り出した。それをくわえながら視線を私へと向ける。
< 7 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop