届かない想い…生きて。


今日も施設には帰らずに、涼の家に行く事にした。


もう涼の家にはたくさん来ているけど、何回見ても凄い迫力のある家だ…と思う…。


重い門を開けると、玄関先には50代ぐらいの男の人が立っていた。



「こんにちは…、涼さんのお父様ですか?」


アタシは絶対に涼の父親だと思って声をかけた。


「……君は……?」


低い声がかすかに聞こえた。


「涼さん…の友達です…。」


「涼…か…、家に入ってなさい。もう少ししたら帰ってくるはずだよ。」


「はい………。」


涼の父親は門を出て、大きくて黒い車に乗って行った。


< 119 / 125 >

この作品をシェア

pagetop