偽恋愛=ギレンアイ=
+* 永良 *+



「ねぇ、永良…抱いて…」

『は?何言ってんの?』

「抱いてよ…こんなの悔しすぎるよ…。あたしが悪いのは分かってる…でも…」

『ゴメン…それだけは…無理…』
「ど…して??」
『俺は、李下のことが好きなんじゃない。
李下は、俺のことが好きなんじゃない。』

「あ…たしは…洸が…好き…」
『俺は、幹が好き。分かってんだろ?やめろよ』

李下は、涙でくしゃくしゃになって顔で俺を見上げる。
李下は、すごい力で俺を押し倒そうとしてくる…


でも…俺は…幹が好きなんだ…
李下…お前は…洸だろ?


ドサッ。

『ッ…』
ついに押し倒されてしまった…
普通は…逆だろ!?
っていつもなら突っ込むだろうな…だってそれは冗談だから。


でも、今の李下は本気だ。
「永良…」
李下は甘えたような声で言ってくる。


李下じゃないみたいで…怖い。
李下は…こんなやつじゃなかったのに…。

『李下…お前が後悔すんだぞ?例え俺が抱いたとして、泣くのは誰?つらい思いすんのは誰?…李下だよ?俺だよ?李下は…洸がすきなんだろ?』
俺はキスしようとしてくる李下を必死に押さえて言った。

「…好きだよ…」
『じゃ、自分を大事にしろよ。八当たりでこんなんやっても最後に泣くのはおまえだろ?』

李下だけじゃない…
俺だって…きっと泣くだろう。

いろんな考えや、気持が入った、涙が―――
李下は…ゆっくり起き上がって、俺から離れた…。
『まだ…頑張ればいいじゃん。』
「邪魔して…いいのかな…」
『俺は…本当の気持ちを伝えるまで…諦めないよ…』
迷惑だと思う。
こんな勇気ないだろう…。

だけど、だけど―――
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