【短】生徒会の秘蜜〜非日常的な日常〜


胸の内で燻る感情を単純に表すならば、それはただの嫉妬。

でも、それだけじゃない。

僕がどんなに中身が普通じゃなくても一応は人間という括りに在るのだから、そんな単純明快な感情だけを抱いているわけじゃない。


こんな性格故に、ラビが僕以外の男と談笑しているのを見れば酷い焦燥感に襲われることだってある。

それだけじゃなくて、僕が女の子にわざと優しくしてあげているのを見せ付けた時に見せる、泣き濡れた瞳と悲哀を隠そうとしている表情で歓喜を覚えてしまう。


現に今だって、僕に向けられているラビの悲しげな瞳に恍惚としてしまうし、愛されているのだと己に陶酔している。


「ん?どうかしたの、ラビ?」


「ッ!ぃ、ぇ…なんでも…」


「ふぅん?それならいいんだけどね」


視界の端にちらりと映していただけのラビに何事もなかったかのように突発的に話かけると、びくり、と、華奢な肩を震わせ明らかな動揺を見せた。

そんな事さえも、胸中を駈け巡る快楽に近い喜びに身体が戦慄いてしまう。


ほんとに、人間なんてものは不可解極まりない。

好きな仔が悲しんでるのを見て喜ぶなんて、僕の頭はどこか可笑しいんじゃないだろうか。

自分のことであるはずなのに、他人事のようなそんな言葉が浮かんでは消えていった。


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