仮想世界に生きる少年
「まずはこの世界について話そう。
ユキ君はこの世界についてどう思う」











「別に不思議を思わないと思っている。
今まで生きてきてこの世界が俺の居場所とさえ思うほどに…」










「君達は世界の誕生と私たちが造った世界の誕生は違うと言わせてもらう」









「どういうことだ」












「君達は『選択の石』によりこの世界を生き延びたと考えている。
隕石の落下を予測した人々は地下奥へと逃げた。
だが、問題が生じた。
地下に入れる人にも限りがある。
生死の選別が始まる。
人として能力があり優れているもの、人々の食糧となる食物などである。
地下空洞は世界各地で造られる。
すべてを保護することはできない。
残された人々は宇宙へと逃げようとした。
しかし、まだ開発途中で人が住める状態ではないので宇宙に住むことは不可能であった。
選ばれた人と選ばれない人。
人としての平等はなかった」












「それは誰でも知っていることだ」











「人々は地球から隕石を破壊する計画が失敗に終わる。
計画は失敗に終わるが計算された落下ポイントを変更すると隕石の大きさを半分以下にすることに成功した。
地球崩壊は逃れるが隕石の破片が地球に落下した。
また、落下の予測軌道を大きく逸れたため、地下の避難所を直撃した。
人々によって選ばれた人は生き残ることができなかったとされる。
隕石のことを後に、『選択の石』と呼んだ。
人が生かす人を選ぶのではなく、石が生かす人を選ぶのだと」








「そうだ。俺が俺達の世界の誕生だとされている」











「そこから私たちと君達の世界のとらえ方が異なることになったんだ」
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