仮想世界に生きる少年
37. 管理
「それじゃあ、この世界は…人々の夢物語だってことか」










俺は金本の話を整理した。











「とらえ方は人それぞれだ。
夢物語、あるいは非現実世界、空想世界。
我々もこの世界についての答えは出ていない」









「…そんなこと不可能だ」









「それが可能だったんだ。失われた世界では…」







「そこまでの技術があるなら、世界が破滅することなんて起きない。
隕石一つで壊れるぐらいの技術力が聞いてあきれる」









「だが、現実は防ぎきれなかったんだ。
その当時、我々の世界で隕石の対処しようとはした。
しかし、計算では隕石を砕くまでしかできなかった」











「砕く…」











「我々の星『地球』の大きさよりも大きいものだったんだ」











「馬鹿な…」












「我々は計算結果をもとに、当時の技術から人間を守るための方法を模索した。
その結果が永久保存だ。
逃げ場所を造ることは簡単だった。
計算では人類をシェルターに避難させることは可能だった。
結果として誰も亡くならない逃げ場は用意できた。
ただ、一つ問題があった」










「…」











「それは我々『人間』の本質だ」














「本質…」













「我々は食糧も、あるいは場所も提供できた。
だが、隕石の落下による不安、
さらにはその後のことを考えた結果、シェルター内部で人間同士の争いが起こると考えたんだ。
一ヵ所に何億人もの人々を、同じ場所で暮らすこと。
いつ外に出られるかわからない現状。
人間の本質。これらを改善するために人々を一時的に保管させた」
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