gently〜時間をおいかけて〜
でも、口には出さなかった。

離婚して、好きなことを思い通りにやって欲しいと思っている自分が心の中にいたからだ。

だけど、まだ父親とやり直せることができるから、あきらめないで欲しいと思っている自分も心の中にいる。

でも父親に内緒でコツコツと離婚の準備をしている母親に向かって、そんなことを言うことができなかった。

どっちのセリフも、言えない。

日々を過ごすうちに、俺は思うようになった。

――どうして、父親と母親は出会ったのだろう?

両親が出会って結婚をしたから、俺が生まれた。

そうだ、俺が2人の出会いから結婚を阻止すればいいんだ。

そう思った俺は、両親の過去を調べた。

調べた結果、2人は大学時代の同級生だったと言うことを知った。
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