続・女好き彼氏


「兄さん、俺の辞書どこやった?」


冷ややかな瞳で俺を見てきた聖斗。


まぁ、こいつは可愛い顔してるけど心の中は腹黒いからな。


俺の前ではいつも本物の腹黒い聖斗が出てくるから特にビビらない。


「辞書なんて借りたっけ?」


俺は過去に聖斗から辞書を借りたか借りてないかを想い出すために頭を抱えながら考えた。


すると、目の前から大きなため息が聞こえてきた。


「貸したじゃん。辞書忘れたって叫びながら俺の教室来ただろ?」



だるそうに喋る聖斗の言葉にハッと過去のことがよみがえる。


そういえば、なくしたとか言って借りに行ったことがあるようなないような………。


「そういえば、そんなこともあった気がするな」


なんて能天気に言ってやった。


何故かピリピリしている聖斗はそんな能天気な俺を睨みつけてくる。


あぁ、怒ってる。


今日は荒れてるな。なんて考えていたらまたため息をつかれてしまった。


「早く返してくれる?授業で使うからさ」


「あー、はいはい」


もう、どっちが兄貴かわからなくなる。


顔だけ見たら俺の方がもちろん兄貴なんだけど、性格で言うとどちらかと言うと聖斗の方がしっかりしている。


まぁ、認めたくないけどな。


俺はそんなことを考えながら
何故か怒っている聖斗に「用が済んだらどっか行け」っとでも言うようにシッシッと手を振った。


それを見た聖斗がまた俺のことを思いっきり睨みつけてきた。


怖い、なんて思わないけど………


聖斗が俺の前から立ち去ろうとしたとき
呟いた声が聞こえてきた。




「ったく………美夜の辞書早く返したいんだからさっさとしろよな」










え………………?












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