続・女好き彼氏


あいつ、聖斗は確かにそう言った。


俺の心臓が大きく揺れる。



なに……言ってんだ?



俺の頭の中がさっきより動揺して
今いる場所から動くことを忘れて


ただ、仲がいい二人を眺めるしかできない。



なんだよ。


早く思い出さないと
大事な子を奪うとか。


そんなの俺に関係ないし。


それに俺に大事な人とかいないし。


なに?


思い出すとか。











最近、

みんなから言われる。


思い出せって。


なにを?


なにから思い出したらいい?


どんな思い出?


どこから俺は忘れてる?


わからない。


そもそも、

俺はほんとに

何かを忘れてるのか?


記憶をなくす前の俺は

大事な人がいたのか?


頭の中でぐるぐる廻る。


様々な考えが回って
どうしたらいいかわからなくなる。


思い出そうとすると
頭が痛くなって


考えることをやめてしまう俺。



「………」



黙って俺は二人を眺めることにか出来なくて


そんな二人はお似合いで


どこか二人で行ってしまって


二人がいなくなっても


二人が立っていた場所を眺めて…







「先輩?」


彼女である小麻里の声すら


俺の耳には届かない。

















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