dark girl&black cat
「この子、喋れない。

多分今の『ありがとう』って言ってると思うぞ?」


王子様が説明してくれた。



「そうだよね?」



コクリと頷く。



「さぁ、透耶達も行ったみたいだし。

行こうか?」



コクリと頷く。


でも、何処に?


まさか、此処とか言わないよね…。


こんなとこ入んないよね…?



王子様に聞いてみた。


『此処に入るの?』


「ん?」



そっかぁ、わかんないよね…。


どうしようか…。


「ごめんね、わからなくて…。

僕の手の平に書いてくれる?」と言って、手の平をあたしに差し出した。


あたしはそっと指で、字を書いた。


「こ、こ、に、は、い、る、の、?

あぁ!『此処に入るの?』ね!

そうだよ!此処に入るの。

中の奴らは良い奴らだから、安心して…ってどうしたの?!

震えてんじゃん!」



やだ…こんなとこ入りたくない…。


やだよ…暴力を振るわれるのは…。


やだ……思い出したくない…!



あたしは気を失った。






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