‡いとしきみ‡
『これぐらいなら…許されるだろ』
 
 
「キナちゃん、…そのジャケットの右ポケット探ってみて」
 
「ポケット?どうして?」
 
「いいから」
 
「ん…。………え?」
 
 
その手に握られたのは、
 
“For You”
 
の字でシールが貼られていた小さな袋。
 
 
「なに…?これ?」
 
 
不思議そうな、戸惑った顔でキナちゃんは、そう尋ねて来る。
 
 
「プレゼント?」
 
「…私に?」
 
「他に誰が居るの(笑)」
 
「あっありがとう。…でも私…何も用意してない…」
 
「いいよ。別な用事で買い物してた時に、キナちゃんに似合いそうだから、なんとなく買っただけだしさ」
 
「…開けていい?」
 
「どーぞ?たいしたモンじゃねーけどさ」
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