俺様狼と子猫少女の秘密の時間①


「で?」


「は?」


いきなり「で?」と聞かれる意味が、あたしには分からない。

教室に戻るなり杏子はずいっと詰め寄ってくるのだ。


「昨日は結局聞けないし、今日も午前中なぜか聞けなかったんだけど」


「…?」


「一昨日とその前のことよー」


…ああ、そうか。

一昨日は休んじゃったし、その前の日は先輩のとこへ行ったんだよね。


「うん、別に特になにも…」


「なにもってことないでしょ。一昨日はさ」


「……え…」


ぴくぴくっと眉を動かすあたしに、杏子は耳元でこそっと言った。


「先輩って上手い?」


「……」


な、なにが……。


あたしのその思いはいとも簡単に汲み取られた。


「決まってんでしょ。エ…」


「えほんっ!」


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