俺様狼と子猫少女の秘密の時間①

なんていうあたしの思いは、瞬く間に木っ端微塵に砕け散る。


「ただいまー……ん、悠由」


「あ…那智兄」


大学ではなく…どっか遊びに行っていたらしい那智兄が帰ってきたのだ。

つまり……。


「あっ那智さーん。暇ですかあ?」


「ああ…まあ」


「悠由が困ってるんですよ~。教えてあげて♪」


…教えてほしいのはあなたでしょ…。

いやそりゃあたしだって、教えてもらえるならいいけどでも今日はちょっと…。


「数学? ああ…なるほど。お前他は上々なのにこれだけは並かそれ以下だもんな」


「……」


それ以下って…悪かったね。


「えーじゃあ他で全部補って三位?」


「まあそうだな」


「悠由……憎っちい」


にくっちいってなに!?

そんな日本語…あったっけ。


敢えて反応はせず、心の中でため息をつき。

カリカリとシャーペンを動かした。


そして那智兄の大活躍で……十五分で終わってしまったのだった。

とほほ……。


< 93 / 335 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop