俺様狼と子猫少女の秘密の時間①
なんていうあたしの思いは、瞬く間に木っ端微塵に砕け散る。
「ただいまー……ん、悠由」
「あ…那智兄」
大学ではなく…どっか遊びに行っていたらしい那智兄が帰ってきたのだ。
つまり……。
「あっ那智さーん。暇ですかあ?」
「ああ…まあ」
「悠由が困ってるんですよ~。教えてあげて♪」
…教えてほしいのはあなたでしょ…。
いやそりゃあたしだって、教えてもらえるならいいけどでも今日はちょっと…。
「数学? ああ…なるほど。お前他は上々なのにこれだけは並かそれ以下だもんな」
「……」
それ以下って…悪かったね。
「えーじゃあ他で全部補って三位?」
「まあそうだな」
「悠由……憎っちい」
にくっちいってなに!?
そんな日本語…あったっけ。
敢えて反応はせず、心の中でため息をつき。
カリカリとシャーペンを動かした。
そして那智兄の大活躍で……十五分で終わってしまったのだった。
とほほ……。