闇夜に浮かぶ紅い月

・初めての拒絶





あの後、自分がどうやって帰ってきたのかわからない。

ただ、公園から逃げた出したのは覚えている。





「よし!」


制服に着替えた終えた私は、2階の自室から階段を外していた鍵を首にかけながら下りてリビングに入った。

微かにキッチンの方から香るのは、昨日レオが作ってくれた料理の匂い。

リビングは、昨日の夜と変わらない風景だった。


(そういえば、夕飯食べてなかった)


お腹の虫が騒いでいる。

朝の気分は、朝食を作る気にもなれず、私はキッチンに残ったままの冷めたレオの料理で済ますことにした。

TVを点けて、適当なニュース番組にチャンネルを変えて天気予報を確認する。


「“今日は雲ひとつない快晴で……”」


朝ごはんには似合わない、洋食の品々を適当に皿に盛って温め、あまり気の進まない口に無理矢理押し込む。

TVの音声が響く中、向かい側にある椅子は誰かが座ることはなく。

この瞬間、私はひとりなのだと嫌でも思い知らされる。


(いつ、帰ってくるのかな)


帰ってきてもどう接していいかわからないくせに、そんな甘い期待を寄せる。


「“続いてのニュースです。先週から連続で起きている殺人事件について……”」


綺麗に完食し終えた私は、お弁当を作る時間もないので、レオが作った残り料理を適当に詰め込み、TVを消して早足で家を出た。


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