さくら木一本道


ニヤけまくりの緩みっぱなしなさくらに、いい加減仕事を始めたい牧場長が話しかけたのだが、



(牧場長)「おい青井? そろそろ仕事おっ始めてぇんだが…」



その言葉が気に食わないさくらは、わざと聞こえるように舌打ちして渋々立ち上がった。



(さくら)「チッ… しょうがないわね…」



(牧場長)「オメェ気合い入れて仕事しねぇと、うちの娘に接近禁止令だすぞ?」



(さくら)「さあ今日も1日ビシバシ働こう‼」



よほど接近禁止令が嫌だったのか、駆け足で更衣室へと向かうさくらだった。



(牧場長)「素直なヤツだ…」



(秋花)「言ってた通りの面白いお姉ちゃんだね」



(牧場長)「だろ? だがどうやら俺は嫌われてるようだけどな…」



(秋花)「それはパパが意地悪なこと言うからでしょ?」



(牧場長)「いや…どうかな? そうじゃなくて多分アイツ過去に…」



(秋花)「?」



珍しく言葉を詰まらせる父親に、秋花は首をかしげて見上げていた。



(牧場長)「……いや何でもねぇ、それより秋花、お前も父ちゃんの手伝いするなら早く着替えてこい」



(秋花)「はーい」



かくして着替え終わった二人は、牧場長に牛舎掃除を言い渡され、仲良く手を繋いで牛舎へと向かうのだった。

そこの牛舎には先に来ていた女性が一人いて、さくら達へ向かって手を振っている。



(?)「お疲れーさくらちゃん、あれ? 今日は秋花ちゃんも一緒なんだ」



この女性の名は「木原 茜(きはら あかね)」

さくらのバイト指導員で北総の卒業生だ。

将来、牧場を経営するのが夢な茜は、卒業してから二年、研修を兼ねてこのさんちファームで働いている。



(秋花)「今日は午前で授業が終わったからお手伝いに来たの」

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