狂暴わんこのひとり占め。





だけど、またこちらに向き直す彼に、自然と手は引っ込む。


灯夜は口元を隠したまま、言いづらそうに口を開いた。






「……紗希、俺さ……――」





―――【ピンポーン】




「「!!」」


ビクッッ!!



二人同時に肩が上がった。




また、客人みたいだ。




「……っとに誰だよ!!!」



何か言いかけたものの、再び邪魔された灯夜。

半ば叫び気味。



私としては内心少しホッとしたけれど…。


っていうか。



「また…誰かな? さすがにもう愛美じゃないわよね」


「知るか!! 誰だか知んねーけど一発入れて……」



ガチャッ…




「――――紗希っっ!!」




灯夜より先にドアを開けた客人によって、その声はかき消された。






< 38 / 42 >

この作品をシェア

pagetop