狂暴わんこのひとり占め。





「アイス、おいしーよサキっ♪」


「そか。よかったね。
てか、呼び捨て…」


「え…ダメ……?」


しゅん。


ぐさっ。


「あ、いい、いいよ!
呼び捨てで全然」


「ありがとぉ、サキ♪」


うう…負けてしまった。



早速 家に帰ると、灯夜はアイスに食いついた。


その姿を見て、つい微笑んでしまう私は母性本能が強かったりするのかしら。



「ねぇ、灯夜。あなたどうして こんな夜中に公園なんかにいたの?」


一日、うちに泊めるんだから これくらい訊いてもいいよね?


「………」


だけど灯夜は、アイスを食べる手を止め、視線を落としてしまった。


なんかまずかったかな…。


「あの……と、灯夜?」


「………サキ」


「…? ――ぎゃっ」


ちょ、奇声を発してしまった。


いやいや、奇声 発してもおかしくない。


なんたって 今の状態は…


「…サキ、そんなの愚問だよ?」


「な…灯夜!?」


「サキは優しいよね」


「は?」


何が言いたいのか分からない。


私の両手首は 見事に捕らえられている。


アイスそっちのけで近付いてきた、怪しい笑みを浮かべる灯夜に。


「だから。サキみたいな子を待ち伏せしてたわけ」


「……うん?」


「はあ、わかってないよね。
つまりね……

いただきます♪ってコト。OK?」


「…………」



にぃぃっと笑った灯夜に、
にこぉっと返すしか無くなった私。



「…まじ?」




私もしかして…


超、危険事態?





< 8 / 42 >

この作品をシェア

pagetop