金木犀〜恋の香り〜

「やっべ〜金ねぇ〜。もう帰ろうかな」


持ち金をすべて使い果たした俺は、


ジュースを買う小銭すらなく…

一人寂しくチャリをこぐ。


「ぅわぁっ…」

ん?


視線の先に、何やら拾い物をしている女子高生の姿。


あの子、ちっちゃえ…。
しかも何、果物落とした?

果物落として拾うって…おいおい、ドラマかよ。


運命の出会いみたいな?

と一人でツッコミをいれ、女の子に近づく。


「大丈夫ですかぁ〜?はい、ミカン」


「あ…すいませんっ…ありが…あぁ!」


「あっ…」


顔を上げたその子は…

「南…」
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