この涙が枯れるまで



『優?おい?』

歩は俺の肩を揺さぶった。


『ボーっとしてた』

『大丈夫かよ?あーさては、優、沙紀の隣にいる子が好きなんだろ~』


歩は怪しい笑みで僕を見てくる。


『は?何で?』



『お前見てれば分かるから』



『まじで?………うん…』

僕は正直に答えた。



『やっぱし!! ちょっと良いことしてやる』

こう言って歩は沙紀を呼び出した。


『沙紀ーちょっと来て』

歩の言葉に反応する水島沙紀。


『何?』

すると歩は沙紀と小さい声でやりとりした。

時々沙紀はこっちをチラチラ見るから、歩は僕の事を話してるんだなって思った。


話が終わると、

『百合ーこっち来て』


小林百合を手招きして彼女を呼ぶ、水島沙紀。

僕はびっくりした。

やばい…彼女が来る…

『なぁにー?』

『ごめんね、小林さん!!実はこいつが…』

僕は勝手に話し始めた歩の口を塞いだ。

『俺が言うから… あのさ、えっと…えっと…』

言葉が出ない…
のどに何かか詰まった感じがする。

『優!!頑張れ』
『鈴木君!!頑張って』


隣では歩と沙紀の声援が聞こえた。


『なぁに?』

不思議そうに僕を見つめる百合。



『えっと…アド教えて?』



僕は恐る恐る彼女を見る。



『えっ…うん、いいよ』

こう言って一時間目と同じ笑顔で笑ってくれた。


この日、僕は前に進んだ気がした。



でも恐怖のカウントダウンがもう…

そこまで来ていた。





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