この涙が枯れるまで


ナナは僕の腕の中で寝た。
僕はずっとナナを撫でていた。
途中ナナの目から、涙が伝う時もあった。
僕はその涙を拭いてあげた。


ドクン…


僕は何かを思い出した。あの日…あの時…あの場所の百合を。
百合も僕とひとつになった時、涙を流した。

ナナも涙を流している。僕はナナの方へと目をやる。



《百合?泣いてるの?嫌だったかな?》

《違うの…嬉しいの…
優君と同じ体温だから》


僕はこんなにも鮮明に百合を思い出す事が出来る。
ナナの顔が、あの時の百合の残像と重なる。
僕はまだこんなにも百合を思い出す事が出来てしまう。

僕はホントに最悪な人間なんだ。
僕は百合の残像を消す為に、目を閉じた。

再び、目を開けると、目の前には、気持ち良さそうに眠るナナがいた。
僕は安心した。
今目の前にいるのはナナなんだ。



百合じゃない。
僕はナナを愛している。

百合ではない。

僕はナナと歩いて行くんだ。

僕はナナしか見えない。

そう…ナナしか…。





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