この涙が枯れるまで


──引っ越しのトラックがナナのマンションの前に止まった。
次々に運ばれる段ボール箱。
あっという間にナナの部屋は空っぽ状態となった。



『ナナ忘れものない?』

『多分ない!!』


だが次の瞬間、かしゃんと何かが落ちる音がした。



『ナナ?何か落ちたみたい』



『え?』



僕達はナナの部屋に戻る。
ナナの部屋には、あるものが落ちていた。



『ナナ…これ写真じゃん』



テレビの上から落ちた写真立て。
テレビは元々マンションのものだから運ばれず残してあったのだ。
テレビから落ちた写真。何か不吉な感じがするのは、僕だけかな?



『あっ写真忘れてた~!!良かったぁ!!』



ナナは写真を拾い上げる。


『忘れるなよ、大事なんだろ?』




『うん!!』



まだ僕は動揺を隠しきれない。

そして僕達はナナの実家に行った。
そこにはもうナナのお兄さんが来ていた。



『ナナ…これからまたよろしくな』




『うん!!私こそ!!』



『優もありがとな、今はゆっくりは話せないけど、荷物運び終わったら、話そうな』




『あっはい。俺手伝いますよ』




ナナとお兄さんの段ボール箱がどんどんと家に運ばれていく。
すぐにナナの家は段ボール箱でいっぱいとなった。





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