この涙が枯れるまで
『ねぇ…優君知ってる?』
『ん?何を?』
『小さい頃、お父さんに聞いた話なんだけどね』
『うん…』
『流れ星ってね、誰かの願いが叶う頃に流れるんだって』
『うん…』
『この空にあるたくさんの星は、世界中の人の願いなんだって』
『………』
『私の願いも、この中のひとつなの』
『うん…』
『優君は…願い事ある?』
『…あるよ』
僕の願いは、百合とずっと一緒にいる事だ。
でも何年経っても、何十年経っても、僕の目の前を、星は流れてくれない。
その理由は、多分………
『優君…』
『なに?』
『私がいなくなったら寂しい?』
『寂しいよ、でも大丈夫』
『平気?』
『俺には歩だって沙紀だって、安里だって、ナナだって、和樹だって、瞳だっている。幸もいるし、旬君もいる…そりゃ、百合と離れるのは辛いよ?でも、大丈夫…』
僕は百合に行って欲しくない。
でも僕は大丈夫なフリをした。
一番辛いのは、百合の方だったのに。