この涙が枯れるまで


僕は携帯の電源を入れた。

百合からの連絡が来ないように電源を切っといたんだ。


新着メールの問合せをしてみる。


《新着メール10件》


全ての差出人は百合からだった。


《今どこにいるの?》


《どうしたの?》


《連絡ちょうだい》


などというメールが10件来ていた。



僕はとりあえず謝った。


《ごめん》


この一言だけ綴り、送信。



着信音が鳴った。


《着信 百合》


『優君今どこにいるの?』


『…分かんない… 緑公園ってとこ』


辺りを見渡すと、公園があった。
風で揺れるブランコが切なさを誘う。


『緑公園ね、分かった!!すぐ行くから』


百合はこう言い、電話を切った。


百合に会ったら何て言おう。


何て言おう…


『優君!!!!』


そう考えていたら、後ろから声が聞こえてきた。
この声は百合だ。
僕は後ろを振り返る。

そこには、心配した顔を浮かべて走ってくる百合の姿があった。


そして百合は僕に抱きついて来た。


『優君!? どうしたの?何で朝百合が起きたら横にいなかったの?』


『ごめん…』


『何かあったの?しかも何で俺の事好きって聞いてくるの?』


『………』


『私は優君が一番だよ??!』


僕が一番?



嘘だ。


そんなはずがない。


でも今の僕は言えない。

言えるはずがない…


百合が好きだから。


百合を愛してるから。



『本当?』



『本当だよ?百合は一番優君が好き』



神様…もう一度百合を信じてもいいですか?




その瞬間、百合の左手から指輪が落ちたんだ。




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