溺愛キング
『頭フィーバーって、なんだよ、それ…』

「そーだろ?誰も藍飛のこと好きとは言ってないだろ?惚れたとは言ったけど、それはそうゆう意味じゃねぇだろ」


腕を組みながら近くの机に腰掛けた翼。


『かっ、勘違いする様な紛らわしい言い方するからだ!しかも口には出してないっ!』

「勝手に勘違いしたんだろ?何言ってんだ。顔見りゃぁ分かる」

翼は、はぁ―…と溜め息をついた。

「だいたい、そんなこと言ってくれるのは、もの好きなやつか、矢耶しかいないだろ?」

『?!』


な、なんだ、翼のやつ!

わなわなと肩を震わせながら翼を指差す。


『や、や、や、矢耶さえそうゆう風に想ってくれてるなら、なんだっていいんだよっ』

「藍飛、どんだけどもってんだ?お前、この状況でよくそんなこと言えるよ。相変わらず、そこは尊敬するね〜」

『くそっ、翼、お前なめたこと言ってくれるじゃねぇか!』

「そぉかな?総長にそう言ってもらえるとは、光栄だね」


ぷっ…と、海亜の吹き出す声が聞こえた。


「なによ、そんな睨まないでよ。可笑しかったから、笑っただけでしょ?」

睨んだ俺に対しても、そんな態度をとる海亜。

総長として、この状況は如何なものか…

くそっ、矢耶!
俺を慰めてくれー!


そんな時、部屋の扉が勢いよく開いた。

バンッ――――……!!

そこには息をきらした傘下の一人が、膝に手をつけながら肩で息をしていた。


『どーしたんだ…』


たちまち、この空間が静寂に包まれた。


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