惚れたのはナルシスト



「お前、早く帰れよ。」

「なんでぇ?一緒に帰ろうよ。近いし、ね?」

「小田、お前さ、なんかした?」

「えー?」


コイツ、とは、小田美穂。

オレの幼なじみ。

ついでに言うならばオレの元カノ。


「なんかしたかって聞いてんだよ?」

「雪兎さあ、主語ないから分かんないよ?」

「分かってるだろ。しかも、呼び捨てやめろよ。」

「あは、バレた?あと、皆の前ではちゃぁんと気を付けて『雪兎くん』って言ってるでしょ?」

「たまに呼び捨てにしてんじゃん。」

「ははっ、ゴメンねえ?」

「話逸らすなよ、なにしたんだよ?」

「やぁだ、怖いっ!なにか、からなにになってんじゃん!それ、アタシが何かしたって決まってんじゃん!」

「お前以外に誰が何をすんだよ?」

「あははっ」

こんな風に笑顔を崩さないとこがちょっと不気味だ。

前は表情がコロコロ変わって可愛いかった。

今はあんな面影がないくらい表情を変えない。



「気持ち悪い」

思わず口に出してしまう。

「あはっ、酷い♪」

ほら、これだ。



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