華〜ハナ〜Ⅰ【完結】





「ねぇ…私、帰ってもいいかしら?」




静かな部屋に、私の声が響いた。





「お前…道分かんのかよ」


蓮士が少し不機嫌そうに言う。





「多分帰れるわ。」




いや、絶対。




「送る。」



蓮士はそう言って立ち上がった。




いやいやいや…

送ってもらっちゃ帰れない。



あんなの普通の人間には見せられないし。




「いいわ。一人で帰れるから。」

「何言ってんだよ。もう暗ぇ。」




なんか蓮士の口調変わってるんだけど。





とりあえず!

ここは諦めてもらわないと帰れない!





「大丈夫だから!気をつけて帰るから!」






蓮士は納得しないながらも、「分かったよ…」と言った。



はあ、良かった。





「ケータイ。教えろ。」

「なんで?」




なんで急にケータイなんだろう。




「何かあったら連絡しねぇと危ねぇ。」



あ〜なるほどね。





……………………あ。






「ケータイ忘れた」






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