華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
夢だったのか…
あの声だけの夢。
夢というにも曖昧すぎるような夢。
なんだか、脳がよく働かない。
考えようとしても何かモヤがかかったように、考えられない。
私は回りの音すらも聞こえておらず
今日もグラウンドが騒がしいのに気づかなかった。
ぼーっと一点を見つめていた私の視界に、バッと誰かの顔が入ってきた。
「蓮士……」
囁くような声で言った私の体は、急にフワッと宙に浮いた。
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