華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
何日か、そんな日が続いた。
楓が帰ってくるとエリカが家を出ていく。
同じ家に住んでいながら、すれ違った生活を送った。
ある日の朝方。
ガタガタッ…
という音で、楓は目を覚ました。
…何だろう。
と興味を持っていながらも、なんだか胸騒ぎがして部屋から出られずにいた。
「ゴウさんっ…!楓が起きるから…っ!」
ゴウ…?
聞いたことのない名前をエリカが呼ぶ。
「楓って子に会いてぇな!」
男の声が、楓の耳に入る。
それは家で、始めてきく男の声だった。