華〜ハナ〜Ⅰ【完結】
目の前の敵に集中し過ぎていた。
だから、嘉たちの後ろまで気が回らなかったんだ。
「はっはっは〜こっちだよ〜」
声がして、振り向く間もなく。
ガッ…
音がして、楓は焦って振り返った。
「……え?」
カランカラン…
嘉たち目掛けて振り下ろされた鉄パイプは、地面に転がっていて。
それを持っていたらしい男はうずくまっていた。
「……嘉?」
男の前に立つ、嘉。
ニッコリと笑っていて、この状況を怖がっている様子はない。