漆黒の姫君

新しい生活

不動産・・・。


さすがは、理事長の一人息子。


知り合いの会社も規模が大きい。


『これなら、住む所にも困らないわ』


お金はどうするかって?心配はいらない。



さっき、ポケットを探った時、紐で縛った袋が出てきた。


すると、外国通貨が大量に落ちてきたのだ。



日本円に直すと・・・約500億円。


昔のお金は、今の金額に直すと、かなりのお金になるようだ。



「さぁ、入ろう」


俊介に促され、中に入る。


「いらっしゃいませ」


女の人が、ペコっと頭を下げ、挨拶をした。



「すいません。こちらに、宮野 大地はいますか?僕の叔父なのですが・・・」


俊介が、丁寧な口調で聞いた。


「ああ、宮野社長の・・・。少々お待ちください」



簡単に話が通った。



「おぉ。俊介か。よく来たな」



「叔父さん。お久しぶりです」



「今日は、どうしたんだ?」



「実は・・・。この子の家を探していて」



「初めまして。城崎アリスといいます」


俊介の叔父は、一瞬驚いたが、すぐに顔を戻すと、


「俊介の友達か~。こんな綺麗な子を拾うなんて、ラッキーだな。お前」



「拾うなんて、そんなんじゃないですよ」


俊介が、叔父の言葉を否定した。


「・・・で、話、戻しますけど・・・伯父さんどの物件が空いてますか?」


「あぁ、そうだったな。ちょっとこっちで待ってろ」


俊介の叔父は、そう言って一つの部屋に、二人を案内すると、席を外した。


「お茶、どうぞ」


氷の入った、冷たいウーロン茶を、女の社員が運んできた。


「ありがとうございます」


俊介がお礼を言った。アリスも軽く頭を下げる。


< 6 / 19 >

この作品をシェア

pagetop