君との世界。[短編38P][企画]
尋常じゃない叫びに、携帯を耳に戻す。


「なんだよ……」

『ダメっす!! どこへ行くんですか?』


純一郎の声が焦っている。


こいつのこんな切羽詰った声、聞いたことがなかった。



「ミューのいるところ」


『ダメですって!! それがどこか分かってるんですか?』




俺は少し考えた。




それでも答えは決まっていた。



「どこでもいい。ミューがいるなら」


俺はそう言うと携帯電話の電源を切った。




ありがとうな、純一郎。

俺のことを思ってくれたんだろうな。




静かに消える液晶画面。





……さぁ、もう邪魔は入らない。

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