【完】UNBALANCE/チャラ男とお嬢
あれ……
ちょっと見た目と違って、口調は優しいかも…
「だ…大丈夫です。
ピアノの早朝練習のために、
早めに行っているだけなので…」
ふ−ん…と言って坂本くんは、私にまた1歩近づいた。
あ……そうだ生徒手帳。
「あの…これ……
飛んできました」
私は坂本くんの手帳を渡した。
くっくくくっと坂本くんは笑った。
あれ…笑うと…普通なんだな…
「俺、投げたよな」
そう言ってまたくくくっと笑った。
「届けてくれたお詫びに、
次の電車が来るまで一緒に待つよ。
見送らして……」
そう言って、また私に1歩近づいた。
目の前に立たれて、
なんか…ドキドキした。
恥ずかしくて、顔をあげられなくなった。
とにかく制服がダラッとダボッとしていて、
もうちょっと、ちゃんと着て、
髪も黒くして、
もうちょっと短く切ったらいいのに…なんて
顔はかっこいいのに、もったいないな…
背が高くて、スタイルいいのに…
怖い顔しないでこんな風に笑えば、素敵なのに…なんて……
頭の中は、いろんな事を考えてしまって
ぐちゃぐちゃになってしまった。