ごく当たり前の日常から
ふと、鏡越しに映った壁掛け時計に、視線を移し、後ろを振り返った。


ー12時30分ー


少し早いけど、もう出掛けようかしら。
夕霧さんを待たせてしまったら失礼に当たるし…。


もう1度、鏡の方に視線を戻すと、前髪を整え直す。



「おかーさん♪」

突然、後ろから夏美が抱きついてきたので、正直驚いたけれど、嬉しかった…。


「夏美、どうしたの?」

娘を優しく見つめると、夏美はニッコリ微笑んで鏡を見ながら呟いた。


「お母さん、綺麗だよ…」


「ありがとう」

私が頭を撫でると、夏美は…「楽しんで来てね」と、一言云い終えて、部屋から出て行った…。


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