ごく当たり前の日常から
「これから、由紀乃の家に向かうのですね。緊張します」


私は、どことなく違和感を感じて、チラリと夕霧さんを見つめると目が合ってしまった。


「どうしたんですか」

ニッコリと微笑む夕霧さんに、私は呟いた。


「何で、いきなり呼び捨てなんですか」

「え、お付き合いを始めたんですから、お互いに呼び捨てでも構わないですよね?」

「まさか私も、夕霧さんのことを…呼び捨てに?」


「当たり前じゃないですか〜…。さん付けされると、少し寂しいです」


そんな悲しそうな表情しないで下さい…。


「分かりました……ゴホン…ひ、弘道…さん」

「あはは…さん付けしてますよ。由紀乃さん…」


「クスクス…貴方も、さん付けしてるじゃないですか〜…ふふっ、面白いわ」



弘道さんは、恥ずかしそうに顔を赤らめると、頭をかきながら、そっぽを向く。


私は、それが、とても可愛らしく見えて、つい腕に絡みついた。


「…ゆ、由紀乃さんっ」


慌てた様子で、弘道さんは私の顔を見つめていたが、そんなのお構いなし。


「ふふっ…こんなの久しぶりだわ」


「クス…意外と由紀乃さんって、子供っぽいんですね」


「……これから、少しずつ、お互いのこと理解していけば良いのよね?…」


「はい…」


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