ごく当たり前の日常から
「…いや〜…弘道君、失礼なこと言って、本当に申し訳ない」


お父さんは、少ない髪の毛のハゲかかった部分を触りながら、頭を下げてきた。


弘道さんは、仏壇に飾ってある私の前の夫の写真の前で、線香をあげた。


お線香の渋い香りと煙りが、天井に上がっていく。


「いや…こんだけソックリなら、間違えても仕方ないですよね」


まじまじと、修也さんの写真を見つめている弘道さんをみていると、本当にソックリだ。こうやって見比べると修也さんが帰って来たような錯覚に陥る。


…弘道さんは、別人なのに。



私ってば、何考えてるんだろう。


まるで弘道さんを、修也さんの代わりにしようとしているみたい……。
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